メモ帳(2018年:平成30年)

出合った書籍や人の言葉から、気になったセンテンスを抜書きしたメモ帳です


何もしなかった平成の日本(堺屋太一)より抜粋(8月14日)
 資本主義の社会では、業を興して財を成した人々を尊敬し、崇拝もする。だからこそ、あえて困難と危険を冒しても起業する者が出る。そんな起業家のおかげで世の中が進歩し、豊かになる。ところが現在の日本では、起業成功者を尊敬もしないし優遇しない。

 先の大戦の主導者でさえ「時流に流され、やむなく戦争への道を走った気の毒な人」ばかりだった。「社会の重し」ともいうべき「代々の有産階級」を欠く日本の構造的欠陥である。

 かってイギリスの首相を長期間努めたマーガレット・サッチャー氏は言った。「金持ちを貧乏にしても、貧乏な人が豊かになるわけではありません。それにもかかわらず金持ちを貧乏にしたがる人がいるのは嫉妬です。嫉妬は人類最大の劣情です。劣情に基づく政治は悪い政治です。私たちは嫉妬の政治から逃れねばなりません」この言やよし。

吉田茂:「日本を決定した百年」の「はじめに」より抜粋(7月25日)
 日本は太平洋戦争という大失敗を犯したが、全体として激しいい国際政治の荒波を巧みに舵をとってきた。しかし、それは日本人のすぐれた「」のたまものなのである。特に明治の指導者たちはすぐれた「勘」をもっていた。だから私は事あるごとに「勘」の必要を説いてきたのである。しかし、「勘」というものは幸運と同じように、つくり出そうとしてつくり出せるものではない。それらはともに、優れた歴史の感覚をもち、勤勉に働く国民に与えられる一種の贈物のようなものである。自分たちの成功に酔ったり、実力を過信する人びとには、幸運も「勘」も与えられないのである。日本の歴史もそのことを示している。
 明治百年をかえりみて、私はつくづくそう思うし、これからの日本を背負う人びとにもそのことをわかってほしい。(1967年5月)

 先日、旧吉田茂亭を訪ね、彼に思いを馳せる機会となりました。


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